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報道機関のドローン取材|災害報道・ニュース取材での運用と法人研修ガイド【2026年版】

テレビ局・新聞社・通信社向けにドローンを災害報道・ニュース取材・記者会見に活用する方法、報道倫理との整合、機種選定、社員研修プランを解説。報道機関特有の運用ルールを具体提示。

ドローンライセンススクール 記事編集部

📝 この記事の要点

  • 報道機関のドローン活用は災害報道・ニュース取材・スポーツ報道・記者会見の4領域に広がっている。
  • 業務利用には二等以上の国家資格が必須。災害現場の取材では一等資格が有利になるケースも多い。
  • 報道機関特有の運用ルール(取材倫理・プライバシー・速報性)と航空法を両立する社員研修が重要。

📊 重要な数字とデータ

業務利用の最低資格二等無人航空機操縦士(業務利用の必須ライン)
災害報道の推奨資格一等無人航空機操縦士+第一種機体認証(カテゴリーIII対応)
推奨機材DJI Mavic 3 Pro(4/3型 + 望遠 + 広角の3眼)または Inspire 3
報道機関での導入率全国紙・キー局など主要報道機関では導入完了が大勢
対人賠償保険の推奨水準対人2億円以上+対物1億円以上+人格権侵害特約

「災害発生時に他社より早く現場の俯瞰映像を届けたい」「ニュース取材で地上では撮れないアングルを獲得したい」「記者会見・記念式典で全景映像を残したい」——本記事は、テレビ局・新聞社・通信社・週刊誌などの報道機関向けに、ドローンを取材活動に組み込む方法、報道倫理との整合、機種選定、社内で資格者を育成する場合の研修プランを解説します。報道機関のドローン活用は2015年頃から本格化しており、2026年4月時点では主要報道機関のほとんどが社内に資格者を抱える時代になっています。後発・地方の報道機関も、競争力維持のために内製化が必須となっています。

報道機関でドローン取材が標準化した4つの背景

報道機関のドローン活用は、2010年代後半から本格化し、2020年以降に業界標準化が進みました。その背景には次の4つの構造的な要因があります。

1. 災害報道での圧倒的な優位性

地震・台風・豪雨・火山噴火などの大規模災害発生時、ドローンによる被災地の俯瞰映像は、地上撮影では実現できない情報量を持ちます。視聴者・読者にとっての「被害の規模感」を最も的確に伝える手段として、ドローン映像は災害報道の中核ツールに位置づけられました。

2. ヘリコプター取材の代替・補完

従来、空撮取材はヘリコプターが主役でしたが、運用コスト(1時間50〜100万円)・騒音問題・接近距離の制約から限界がありました。ドローンは1日数万円で運用でき、より低高度・近距離からの撮影が可能なため、ヘリ取材の代替・補完として急速に普及しました。

3. ニュース映像の品質競争

各報道機関がニュース番組・Webニュースで競い合う時代、空撮を含む映像表現の差は視聴率・PVに直結します。地上カメラだけでは伝えきれない「規模感」「位置関係」「全体構造」を、ドローン映像で表現することが標準になっています。

4. オンライン速報・SNS発信の高速化

オンラインメディアのスピード競争は秒単位で進行しています。現場での即時撮影〜配信が可能なドローンは、速報体制の中核ツールです。撮影者がそのまま編集・配信を行うワンマンオペレーション体制も整備されつつあります。

報道機関でのドローン運用パターン

報道機関のドローン運用は、取材の性質によって複数のパターンに分かれます。

災害発生時の緊急取材

地震・台風・豪雨・火山噴火等の災害発生直後、現場に最も早く到着する取材手段としてドローンが活用されます。

  • 被災地全体の俯瞰映像
  • 道路・建物・橋梁等のインフラ被害状況
  • 救助活動の支援的映像
  • 復旧状況の継続記録

ただし、災害現場では救助活動・自衛隊・消防の運航するヘリコプター・警察ヘリと飛行空域が競合する可能性が極めて高く、緊急用務空域の指定下では原則飛行禁止です。事前に国土交通省・関係機関との連絡体制を整備しておくことが重要です。

事件・事故現場のニュース取材

火災・爆発事故・交通事故・凶悪事件などの現場での取材では、上空からの全景映像が事件の規模感を伝える有力な情報になります。ただし、警察の現場保全活動を妨げない運用が大前提です。

記者会見・記念式典の取材

国・自治体の記者会見、企業の発表会、記念式典などでは、会場全体の俯瞰映像を残すためにドローンが使われます。第三者上空飛行が想定されるため、運用には注意が必要です。

スポーツ報道

野球・サッカー・マラソン・ゴルフなどのスポーツ報道では、ドローンによる空撮映像が試合の臨場感を高めます。J3スポーツ・イベント撮影記事と内容が重複しないよう、本記事ではスポーツ報道は概要のみとし、専門的な運用はスポーツ・イベント撮影に委ねます。

環境・社会問題の取材

環境破壊・社会問題(不法投棄、違法建築等)の取材では、地上からは確認しにくい状況をドローンで撮影することで、報道の説得力が高まります。

報道倫理とドローン運用の整合

報道機関は、報道倫理規定(各社ごと)と業界自主基準(日本新聞協会・日本民間放送連盟等)を遵守して取材を行います。ドローン運用も例外ではありません。

プライバシー権との両立

報道目的でも、被災者・遺族・一般市民のプライバシーは保護されます。

  • 個人を特定できる解像度での撮影は避ける、または公開時にマスキング
  • 私有地上空の撮影は所有者の許諾を原則とする
  • 遺体・重傷者の撮影は厳に避ける
  • 子どものプライバシーは特に厳格に保護

取材源の保護

ドローン撮影中の通信・映像データは、取材源の保護観点で厳重に管理します。

  • 暗号化通信(5GHz帯のWPA3等)
  • 撮影データの社外流出防止
  • 編集前ラフデータのアクセス権限管理

公益性の判断

ドローン取材を行うか否かは、公益性と影響のバランスで判断します。

  • 報道価値(ニュース性・社会的意義)
  • 当事者・周辺への影響
  • 法令違反のリスク
  • 報道機関としての社会的責任

これらを総合的に評価し、現場のデスク・編集責任者の判断で運用します。

災害現場での自粛要請

大規模災害発生時、政府・自治体・救助機関から飛行自粛要請が出される場合があります。報道機関は協定または個別判断で、これらに協力する運用が一般的です。緊急用務空域の指定下では、報道目的でも飛行は原則禁止です。

必要な許可・資格

報道機関のドローン取材で必要な許可・資格は、取材の性質によって段階的に変わります(2026年4月時点)。

航空法上の特定飛行

報道現場のほぼすべてが特定飛行に該当します。

区分報道取材での該当例
人口集中地区(DID)の上空都市部の取材は大半が該当
第三者から30m未満の飛行取材対象周辺は確実に該当
夜間飛行夜間災害現場・夜の事件現場
目視外飛行広域被災地の俯瞰
第三者上空飛行群衆を上から撮る場合

機体登録・包括許可

100g以上の機体は登録必須。報道機関は包括許可(カテゴリーII)を取得した上で運用します。

業務利用に必要な資格

2025年12月の制度改正以降、業務利用では二等国家資格が事実上の必須です。詳しくは 二等無人航空機操縦士 試験内容 を参照してください。

災害現場の取材で第三者上空飛行が想定される場合、一等国家資格+第一種機体認証が必要です。詳しくは 一等無人航空機操縦士 取り方 を参照してください。

夜間取材には夜間限定変更、広域被災地の俯瞰には目視外限定変更が必要です。詳しくは 限定変更ガイド を参照。

コース選定の無料相談はDSLまで — 二等国家資格コース、一等国家資格コース、限定変更コースのいずれが貴社に最適か、無料相談で個別ご提案します。お問い合わせフォーム または 0120-053-703(平日9:30〜17:00)。

災害報道のドローン活用

災害報道はドローンが最も価値を発揮する領域です。本セクションでは、災害報道でのドローン運用の実務を整理します。

出動準備(平時の体制整備)

災害発生時に即座に出動できる体制は、平時の準備で決まります。

  • 災害取材専用の機材セット(即時持ち出し可能)
  • 充電済みバッテリーの常時保管
  • 包括許可番号・許可証の常時携帯
  • 出動チームの輪番体制(夜間・休日対応)
  • 各エリア(管轄県・近隣県)の事前下見データ

緊急用務空域の確認

災害発生直後、国土交通省が「緊急用務空域」を指定します。この空域では報道目的でも原則飛行できません。出動前に必ず緊急用務空域の指定状況を確認します。

  • 国土交通省 公式ホームページ
  • 報道協定での情報共有
  • 警察・消防・自衛隊との連絡

安全な飛行経路の設計

災害現場では電線断線・倒壊家屋・救助ヘリコプター等の予測困難なリスクが多数あります。

  • 高高度(80〜120m)からの俯瞰を基本に
  • ヘリコプター運航空域を回避(最低500m離隔)
  • 倒木・電線等の障害物を事前確認
  • 緊急離着陸候補地を複数設定

救助活動への配慮

ドローンが救助活動の妨げにならないよう、以下を徹底します。

  • 救助ヘリ・消防ヘリの飛行路を最優先に空ける
  • 救助活動エリアの上空飛行は避ける
  • 拡声器・スピーカーによる救助呼びかけを妨害しない
  • 救助隊員の通信を妨害しないチャネル選択

取材編集の判断

撮影した映像のうち、放送・配信する範囲は編集デスクが判断します。

  • 遺体・重傷者の映像は使用しない
  • 個人特定可能な映像はマスキング
  • 当事者の心情を踏まえた編集
  • 公益性とプライバシーのバランス

災害報道協定への参加

報道各社は、災害時の報道活動に関する協定を結んでいます。協定参加メディアは情報共有・救助活動への協力等で連携します。新規でドローン運用を開始する報道機関も、協定への参加を検討すべきです。

機材選定(報道機関特化)

報道機関の機材選定は、機動性・画質・耐久性の3軸で評価します。

標準機材の推奨

報道機関での標準推奨機は次の通りです(2026年4月時点)。

  • DJI Mavic 3 Pro(約40〜50万円):4/3型ハッセルブラッド+中望遠+望遠の3眼。報道現場の主力
  • DJI Inspire 3(約100〜130万円):8K対応のシネマカメラ。重要報道・特集番組向け
  • DJI Mavic 3 Thermal(約100万円):災害現場のサーマル取材
  • DJI Matrice 350 RTK(約250万円〜):プロ運用のフラッグシップ

サブセット機材

  • 予備機(同型を含む):故障時の即時切替用
  • バッテリー:8〜12個(連続運用想定)
  • 充電ステーション(複数バッテリー同時充電)
  • microSDカード V60以上 256GB×6枚以上
  • ハードケース(耐衝撃・防水・施錠付き)
  • 4G/5Gライブ配信機材(即時放送・配信)

損害保険プラン

報道機関は社会的影響が大きいため、保険水準は最高クラスを推奨します。

  • 対人賠償:2億円以上
  • 対物賠償:1億円以上
  • 人格権侵害特約付き
  • 機体保険(重要機材として加入)
  • 業務遂行賠償責任保険
機材ランク機体価格推奨業務
標準DJI Mavic 3 Pro40〜50万円一般ニュース取材・速報
災害特化DJI Mavic 3 Thermal約100万円災害取材・夜間
プロDJI Inspire 3100〜130万円特集番組・重要報道
フラッグシップDJI Matrice 350 RTK250万円〜大型プロジェクト

報道機関のドローン運用組織

報道機関でのドローン運用は、組織的な体制構築が成功の鍵です。

ドローン運用専任部署の設置

主要報道機関では、報道局内にドローン運用専任の部署または担当者を置く例が増えています。

  • ドローン運用責任者(部長級)
  • 操縦者(資格保有記者・専門スタッフ)
  • 機材管理担当
  • 法務・コンプライアンス担当

全国ネットワーク体制

全国紙・キー局では、各支局・系列局にドローン運用拠点を分散配置することで、災害発生時の即応体制を構築しています。中継基地化することで、迅速な取材展開が可能になります。

編集デスクとの連携

撮影された映像が報道として使われるかは、編集デスクが判断します。ドローン操縦者と編集デスクの密な連携が、現場での適切な撮影判断につながります。

法務・コンプライアンスチームとの連携

ドローン取材は法的リスクを伴います。法務・コンプライアンス担当との事前協議を制度化することで、トラブル予防につながります。

報道機関向け研修プラン

DSLでは、報道機関向けに次のプランを提供しています。詳しくは 法人研修の総合解説一等資格の取得ガイド も併せてご覧ください。

中規模報道機関プラン(地方紙・地方局)

  • 受講者:報道部記者2〜3名
  • コース:二等国家資格+夜間限定変更
  • 期間:6ヶ月(業務との両立)
  • 投資:90〜140万円

大手報道機関プラン(全国紙・キー局)

  • 受講者:報道局専任チーム5〜10名
  • コース:一等国家資格+限定変更フルセット
  • 期間:12ヶ月(複数バッチ)
  • 投資:500〜1,500万円

通信社・週刊誌向けプラン

  • 受講者:取材担当2〜3名
  • コース:二等国家資格+夜間限定変更+目視外限定変更
  • 期間:8〜10ヶ月
  • 投資:120〜200万円

DSLの報道機関向けカスタマイズ

DSLでは次のカスタマイズを提供しています。

  • 災害報道シナリオ実技:地震・台風・水害等の現場想定訓練
  • 緊急用務空域ルールの実務指導:飛行可否判断の演習
  • 報道倫理とドローン運用の統合研修:プライバシー・取材源保護の実例
  • ライブ配信運用の技術指導:4G/5G配信の実務
  • DIPS2.0申請(カテゴリーII+III)の実務

詳しくは 横浜のドローンスクール比較 で他校との違いをご確認ください。

報道機関向けカスタマイズ研修の無料相談 — 貴社の取材内容・規模・予算をヒアリングし、最適な研修プランをご提案します。お問い合わせフォーム または 0120-053-703(平日9:30〜17:00)。

報道機関のドローン取材事例

報道機関のドローン活用は、各社の特性に応じて多様な形で展開されています(DSL受講者の典型例として記述)。

全国紙の災害取材事例

ある全国紙では、報道局所属のドローン専任チーム3名が一等国家資格と限定変更フルセットを取得し、災害発生時の即応体制を構築しています。地震発生から2時間以内に被災地でドローン取材を開始し、Webニュースとオンライン版に迅速に映像を掲載することで、競合他社との差別化を実現しています。

地方局のニュース取材事例

ある地方テレビ局では、報道部記者2名が二等資格+夜間限定変更を取得し、ニュース番組の日常的な取材にドローンを活用しています。地域の話題性のあるイベント・観光地・建設現場の俯瞰映像を組み込むことで、視聴者からの評価が高まっています。

週刊誌の調査報道事例

ある週刊誌では、調査報道専門の記者が二等資格を取得し、不法投棄現場・違法建築・環境破壊現場などの取材に活用しています。地上からは把握しにくい状況を空撮で記録することで、調査報道の説得力が向上しています。

通信社のスポーツ報道事例

通信社のスポーツ部では、二等資格+夜間限定変更を取得した記者が、マラソン・自転車レース等の長距離スポーツ取材を担当。コース全体の俯瞰映像が、配信先メディアへの提供素材として高い評価を得ています。

報道機関の関連法令・運用ガイドライン

関連法令の整理

  • 航空法:許可・承認制度
  • 小型無人機等飛行禁止法:国の重要施設・米軍施設等の周辺禁止
  • 電波法:5GHz帯使用機の屋外運用制限
  • 個人情報保護法:撮影映像の取り扱い
  • 民法:プライバシー権・肖像権
  • 報道倫理規定:各報道機関の自主規定
  • 災害対策基本法:災害時の報道協定

業界自主ガイドライン

日本新聞協会・日本民間放送連盟・日本雑誌協会等が、ドローン取材の自主ガイドラインを発行しています。これらに準拠した運用が、業界基準の遵守となります。

  • 取材活動上の倫理規定
  • プライバシー保護
  • 災害時の協力体制
  • 機材・運用の安全基準

報道協定への参加

主要な報道機関は、災害時の報道に関する協定を結んでいます。協定参加メディアは情報共有・取材活動の調整・救助への協力等で連携します。

よくある質問(FAQ)

Q. 災害現場でのドローン取材はいつでも可能ですか?

A. いいえ、緊急用務空域に指定された区域では報道目的でも原則飛行禁止です。出動前に国土交通省の指定状況を確認します。指定外でも、救助活動の妨げにならない運用が大原則です。

Q. 第三者上空飛行は報道目的なら例外で可能ですか?

A. いいえ、報道目的でも一般のルール通り、二等資格では第三者上空飛行はできません。一等資格+第一種機体認証+カテゴリーIII個別申請が必要です。

Q. 個人特定可能な映像を撮影してしまった場合は?

A. 編集段階でのマスキング処理が原則です。場合によっては該当部分を使用しない判断もあります。報道倫理に基づき、編集デスク・法務担当と相談して対応します。

Q. ヘリコプター取材とドローン取材は併用できますか?

A. 災害現場では併用が一般的です。ヘリは広域・高高度の俯瞰、ドローンは特定エリアの近接撮影、と役割分担します。両者の飛行空域を最低500m離隔して運用します。

Q. 警察・消防の現場でドローンを飛ばしてもいいですか?

A. 警察の現場保全活動・消防の救助活動を妨げない運用が大原則です。事前に現場責任者に取材意図を伝え、許諾を得てから飛行することが業界慣行です。

Q. 包括許可ですべての取材に対応できますか?

A. 包括許可(カテゴリーII)は事前申請内容の範囲内で運用できますが、緊急取材で想定外の場所・時間帯になる場合があります。包括許可申請時に「日本全国・1年間・主要特定飛行を含む」内容で取得しておくのが現実的です。

Q. 災害取材中の事故時の対応は?

A. 通常の事故対応に加え、報道協定参加機関への情報共有が必要な場合があります。第三者の安全確保・機体停止・警察通報・国交省事故報告が基本フローです。

Q. 海外取材でも国内資格は使えますか?

A. 海外では各国の航空当局の許可が別途必要です。国内資格は海外では直接適用されませんが、操縦経験・資格保有は海外申請時の参考資料になります。

報道機関の運用ノウハウ

報道機関のドローン取材を効果的に運用するための実務ノウハウを整理します。

即応出動体制の構築

災害発生時の即応出動には、24時間×365日の体制構築が必要です。

  • 機材の常時持ち出し可能状態(充電済みバッテリー保管)
  • 担当者の輪番制(夜間・休日対応)
  • 連絡網(速報部門→ドローン担当→出動)
  • 移動手段(社用車・タクシー優先契約)
  • 包括許可番号・関係連絡先の常時携帯

取材判断のフロー

撮影現場での飛行可否判断は、以下のフローで進めます。

  1. 緊急用務空域指定の確認
  2. 飛行禁止区域の確認(小型無人機等飛行禁止法等)
  3. 救助活動・他のヘリ運航の確認
  4. 第三者上空飛行への該当判定
  5. 第三者・関係者への配慮事項確認
  6. 編集デスクへの取材意図共有
  7. 飛行開始

これらを5〜10分で完了する判断スキルが、現場記者に求められます。

ライブ配信運用

報道機関のドローン取材では、撮影と同時に放送・配信するライブ運用が標準化しつつあります。

  • 4G/5G通信モジュールでの即時配信
  • 報道局スタジオへのライブ伝送
  • Webニュース・SNSへの即時公開
  • 番組への割り込み放送対応

競合他社との空域調整

大規模災害現場では複数社のドローンが集まる可能性があります。

  • 飛行高度の事前協定(社A:80m / 社B:120m など)
  • 飛行方位の住み分け
  • 通信周波数の重複回避
  • 他社操縦者との現場連携

報道協定参加メディア間では、こうした空域調整の事前ルールが整備されつつあります。

取材後のデータ管理

撮影されたデータは、報道機関の重要資産として厳重に管理します。

  • オリジナルデータのバックアップ(最低2か所)
  • アクセス権限の管理(記者・編集デスク・経営層等)
  • 保存期間(原則5年以上、重要案件は永久保存)
  • 災害対策(オフサイトバックアップ)

記者の操縦技能維持

ドローン操縦は使わない期間が長いと技能が低下します。

  • 月1回以上の操縦練習
  • 年1回の技能確認テスト
  • 限定変更講習の継続受講
  • 新機種の習熟訓練

報道機関のドローン運用の歴史と展望

2015年頃〜2018年:黎明期

報道機関のドローン取材は2015年頃から本格化しました。当時はDJI Phantomシリーズが主力機材で、各社が試行錯誤しながら運用ルールを構築していった時期です。

2019年〜2022年:普及期

2019年頃から各社のドローンチームが整備され、災害報道での運用が標準化しました。2020年の航空法改正、2022年12月の国家資格制度開始など、法整備の進展と並行して報道機関の運用も高度化しました。

2023年〜2025年:高度化期

2025年12月の制度改正で、業務利用には二等以上の国家資格が事実上必須となりました。報道機関も組織的な研修体制を整備し、二等資格保有者の配置が標準化されました。一等資格保有者を擁する報道機関も増加しています。

2026年以降:成熟期

2026年4月時点で、ドローン取材は報道機関の標準業務として定着しています。今後は次の方向性が予想されます。

  • AI画像分析との統合(被害規模の自動推定等)
  • 複数機編隊運用の高度化
  • 自動巡航ルートの活用
  • 海外取材体制への展開
  • 一等資格保有者の常態配置

国際比較

日本の報道機関のドローン取材は、米国・欧州と比較して規制環境が厳しい一方、運用の質では国際的に高い評価を受けています。災害報道での緊急用務空域への対応、報道協定での連携、報道倫理との両立など、日本独自の運用文化が評価されています。

報道機関のドローン運用のまとめ

報道機関にとってドローン取材は、災害報道・ニュース取材・スポーツ報道・記者会見等の現場で標準的な取材手法に位置づけられています。2026年4月時点で主要報道機関のドローン導入は完了が大勢で、後発・地方の報道機関にとっても内製化は競争力維持の必須要件になっています。

報道機関特有の運用要件——緊急用務空域への対応、報道倫理との整合、災害協定での連携、第三者上空飛行への対応——は、一般業務とは異なる専門的な知識・技術を必要とします。DSLは、これら報道機関特有のニーズに応える研修プランを提供しています。

DSL(ドローン免許センター)は、120社以上の法人受講実績、20年のドローン操縦士育成実績、検定審査員による直接指導、横浜校・千葉流山校での完全屋外実技訓練という強みで、報道機関向けにカスタマイズした研修プランを提供しています。災害報道シナリオ実技、緊急用務空域ルールの実務指導、報道倫理とドローン運用の統合研修など、業界特有のニーズに応える研修内容を整備しています。

法人研修・現場視察のご相談は、お問い合わせフォーム または0120-053-703(平日9:30〜17:00)まで。専門スタッフが、貴社のニーズに合わせた最適なプランをご提案いたします。検討段階の無料相談から承りますので、お気軽にお問い合わせください。

ヘリコプター取材との比較分析

報道機関の従来の空撮手段はヘリコプターでした。ドローンとの比較を5観点で整理します。

観点ヘリコプター取材ドローン取材
コスト1時間50〜100万円(チャーター・燃料・パイロット)1日数万円(機材償却・操縦者人件費)
機動性天候・空港・離着陸場の制約、出動準備に時間その場で即座に飛行開始可能(長距離は限界あり)
撮影品質高高度・広域の俯瞰、4K〜8K高品質低高度・近接撮影、4K〜8K対応モデルあり
安全性パイロット同乗のリスク人的リスクなし、ただし墜落リスクあり
法規制航空法・空港・空域規制航空法(無人航空機)・小型無人機等飛行禁止法

ドローンは運用コスト・機動性で優位、ヘリコプターは広域・長距離で優位です。両者は撮影特性が異なるため、相互補完的に運用されます

併用運用の標準化

主要報道機関では、災害報道でヘリコプターとドローンの併用運用が標準化しています。ヘリコプターで広域・高高度の俯瞰映像、ドローンで特定エリア・低高度の近接映像を撮影することで、視聴者・読者に対する情報量が最大化されます。

報道機関の補助金・予算

報道機関がドローン研修・機材導入で活用できる補助金は限定的ですが、社内予算の獲得においては以下の根拠が有効です。

  • 業界標準化のキャッチアップ
  • 災害報道での視聴率・PV向上
  • 競合他社との差別化
  • 取材コスト削減(ヘリコプター代替)
  • 記者のスキル多様化

社内稟議では、これらの定量・定性両面の根拠を整理することで、経営層の承認を得やすくなります。

詳しくは ドローン教育訓練給付免許費用の総合解説 を参照してください。報道機関は教育訓練給付金の対象外となるケースがありますが、人材開発支援助成金(特定訓練コース・人材育成支援コース)は活用可能で、助成率45〜100%が適用されます。

報道機関のドローン取材における国際視点

国際報道では、海外現場でのドローン取材も重要なテーマです。各国の航空規制は日本と異なるため、海外取材時には現地の航空当局の許可が必要です。

主要な海外取材先の規制概要:

  • 米国:FAA(米連邦航空局)のPart 107認可が必要
  • EU:EASA(欧州航空安全機関)の統一ルール
  • アジア:各国の航空当局の個別認可

日本国内で資格を取得した記者は、海外取材時に現地の試験を改めて受験する必要があります。ただし、日本での操縦経験は信用情報として認識される傾向があります。


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執筆: ドローンライセンススクール 記事編集部 (ドローン免許センター 公式ブログ編集チーム)

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